はじめに
本ブログは「SAP BTP Hackathon 2025」において、一次選考を通過し、ファイナリストとなったPwCコンサルティング合同会社様(以下、PwCコンサルティング)、ベニックソリューション株式会社様(以下、ベニック)、キャップジェミニ株式会社様(以下、キャップジェミニ)の3社によって行われた座談会についての記事です。
本記事は、SAPジャパンが主催する「SAP BTP Hackathon 2025」にてファイナリストに選ばれた6社のうち、3社(PwCコンサルティング、ベニックソリューション、キャップジェミニ)を招いて実施した座談会の内容をまとめたものです。
「SAP BTP Hackathon 2025」は、SAPジャパン株式会社の主催するパートナー/お客様向けのハッカソンイベントです。おかげさまで、4年目の開催となった今年のハッカソンは、38社47チーム354名もの皆様に参加して頂く事ができました。2025年5月の参加者向けのEnablementセッションを皮切りに、6月には1週間にわたるハッカソンが開催されました。その後、SAPジャパンによる厳正な審査を経て、一次選考を通過した6チームがSAPジャパン本社に集結。当日は多くの参加者が見守る中、各チームが渾身のプレゼンテーションを披露し、その内容をもとに最終審査が行われました。そして、同イベント内で最優秀作品および最優秀チームが決定されました(開催日:7月9日[水])。
今年のハッカソンのテーマは、「SAP業務にAIでSurpriseを!それ、AIに任せません?」でした。このテーマにおいて、ファイナリストに選定された6社様を2組に分け、座談会という形で現在の率直な思いを赤裸々にお話しいただきました。
チーム/座談会参加者紹介
1.ベニックソリューション株式会社様(チームベニック)
チーム全体写真(写真左)浅野氏、谷垣氏、杉森氏、亀谷氏、堀川氏、谷口氏の6名で構成されたチーム
インタビューには以下の3名にご参加いただきました。(写真右)
杉森大樹氏(コンサルタント):SAPソリューション3部所属。ERPの保守運用を担当。SAP関連の経験は約9年。BTP歴は今年から。
浅野美音氏(コンサルタント):同部署にて、在庫購買管理コンサルを担当。BTP案件は今年から参画。BTP歴は今年から。
谷口哲史氏(マネージャ):同部署にて、SAPソリューション部隊の管理職。SAP関連の経験は10年以上。
2.PwCコンサルティング合同会社様(PwCガーディアンズ)
チーム全体写真(写真左)の中山氏、伊藤氏、大塚氏、守田氏、荒賀氏、神谷氏、向山氏、田之頭氏、北村氏、中澤氏、浅野氏、市川氏の12名で構成されたチーム
インタビューには以下の6名にご参加いただきました。(写真右)
大塚將司氏(マネージャー):チームリーダー。エンタープライズトランスフォーメーションコンサルティング事業部– Enterprise Solution所属 S/4HANAの拡張に関してBTP等を用いた開発や運用を担当。新卒から約19年SAP関連の仕事に携わる。BTP歴は約5年。SAP Business Technology Platformチャンピオン。
荒賀貴司氏(シニアアソシエイト):同部署にて、S/4HANAの拡張に関してBTP等を用いた開発や運用を担当。約8年SAP関連の仕事に携わる。BTP歴は約4年。BTPハッカソンへの参加は3回目。
伊藤匠理氏(シニアアソシエイト):同部署にて、SAP導入×生成AIの推進に携わる。約3年SAP関連の仕事に携わる。BTPの経験はほとんどゼロ。BTPハッカソンは2回目。
守田拓哉氏(アソシエイト):同部署にて、S/4HANA、BTP導入を担当。新卒から約3年SAP関連の仕事に携わる。BTPハッカソンへの参加は今回が初めて。
向山知花氏(アソシエイト):同部署にて、ECCからS/4HANAへのバージョンアップを担当。新卒から約3年SAP関連の仕事に携わる。BTPハッカソンへの参加は2回目。
中澤健太氏(アソシエイト):同部署にて、Business Data Cloudのナレッジ蓄積を担当。新卒から約3年SAP関連の仕事に携わる。BTPの経験はSAC(SAP Analytics Cloud)、Datasphereを触ったことがある程度。
3.キャップジェミニ株式会社様(BTCg)
チーム全体写真(写真左)の伏見氏、中山氏、Korn氏、Julian氏、杉本氏、中村氏、郷古氏、亀田氏、三田村氏、本間氏、本澤氏、横田氏、小倉氏の13名で構成されたチーム
インタビューには以下の2名にご参加いただきました。(写真右)
伏見譲氏(コンサルタント):PBS(Package-Based Solution)PracticeのAutomation Apps部門所属。ローコード/ノーコードツールを用いた業務改善を担当。SAP歴は今年から。BTP歴は今年から。
中山大輔氏(シニアマネージャー):PBS(Package-Based Solution)PracticeのSAP部門所属。主にS/4HANAグローバル展開における会計領域の導入、運用保守並びにプロジェクトマネージャー担当。SAP関連の経験は約20年。BTP歴は今年から。
インタビュー内容
一次選考を通過した時のお気持ちと社内の反応を教えてください。
谷口氏(ベニック):今回はBTPハッカソンへの2年目のチャレンジでしたが、参加メンバーの通常業務が非常に忙しく、しかし多忙な中でも『まずは挑戦してみよう』という気持ちで臨みました。結果的に良い成果につながり、社内はかなりざわつきましたね。特に、ファイナリストに残った他社の社名を聞いたときは、皆が驚いていました。それになんと言っても社長もファイナルイベントに現地で参加して応援に駆けつけてくれるほど、大いに盛り上がりました。
伊藤氏(PwCコンサルティング):昨年も参加していたため期待はありましたが、一次選考を通過した瞬間はチーム全員が安堵と喜びに包まれました。一次選考の結果が発表される前後の約1時間は不安の方が大きく、結果が出るまで何度も状況を確認するほど緊張していましたね。社内の上層部からの期待も今年は一層大きく、相当な重圧を感じていました。そして、ファイナリストの結果が出たときに一気に緊張がほどけ、そこからまた頑張ろうと思えました。
中山氏(キャップジェミニ):アプリの開発と並行して当然ながら通常の業務もあり、多忙な毎日でしたが、一次選考通過の知らせで『努力が報われた』と実感しました。弊社も昨年ファイナリストに選定されており、その資料を見直すと完成度が非常に高かったため、忙しい中で昨年と同等の完成度まで仕上げられるか不安でした。しかし今回もファイナリストに選出され、非常に報われました。日本国内だけでなく、海外拠点のメンバーにも報告し、多くの祝福の声をいただきました。
作品の紹介とディスカッション
今年のハッカソンのテーマ「SAP業務にAIでSurpriseを!それ、AIに任せません?」を振り返りながら、各社様が開発されたソリューションについてディスカッションを行いました。
1. ベニックソリューション株式会社様(チームベニック)
アプリケーション名:BTP Enhancement News Intelligent Companion (仮称)
SAP BTPのWhat’s Newを各社の環境に合わせて、どのニュースが必要かを生成AIで選別して届けるソリューション
杉森氏(ベニック):BTP Enhancement News Intelligence Companion(仮称)、略して「BENIC」を紹介します。ホットなニュースを「読む」から「使える」へ。BENICは、BTPのWhat’s Newを各社の環境に合わせて、どのニュースが必要かを生成AIで選別して届けることをコンセプトにしています。私自身、日頃SAP ERPの保守業務でホットニュースを確認し、お客様ごとに何が関係し、どの程度影響するかをお伝えしていますが、手間がかかるうえ、お客様側でも本当に必要か判断が難しい状況がありました。これを解決するため、生成AIによる自動化と最適化のソリューションを考えました。
杉森氏(ベニック):アーキテクチャとしては、入口がSAP Build Process Automation (※1)になります。APIで最新ニュースを取得し、AI Agentと連携。その後、Document Grounding(※2)によりHelp Portalのデータでニュースを補足します。さらにService Manager(※3)を使って自社のBTP環境情報や利用サービスを把握し、関連性を評価して、メールで配信する構成です。
荒賀氏(PwCコンサルティング):ハッカソン当日のプレゼンを拝見し、実際に使ってみたいと思いました。今回のハッカソンではWhat’s Newを使われていましたが、それ以外のニュースにも活用できると感じています。今後どのように展開していくお考えでしょうか。
杉森氏(ベニック):今回のハッカソンでは新技術情報が中心のWhat’s Newをメインにしましたが、今後は実業務の保守運用で必要となるホットニュースへの拡張を考えています。
大塚氏(PwCコンサルティング):ベニックさんのソリューションは当日も非常に反響が大きく、「今まさに欲しい」と話題になりました。2点うかがいます。1つ目は、このソリューションは実運用されていますか。2つ目は、外販の予定はありますか。
谷口氏(ベニック):まだ具体的な一歩は踏み出していませんが、自社の営業とは話をしており、正式なサービスとして立ち上げたいと考えています。
2. キャップジェミニ株式会社様(BTCg)
アプリケーション名:SmartShipRoute Navi
海外輸送における最適輸送経路をAIが評価・提案し、ユーザーが選択できるソリューション
伏見氏(キャップジェミニ):SmartShipRoute Naviを紹介します。これは受注伝票上の輸送経路をAIが評価・提案し、ユーザーが最適な輸送経路を選択できるアプリです。グローバルに事業を展開されている製造業様において、必ずしも最適な輸送経路・方法で製品を輸送できていないことに課題をお持ちのためこのソリューションを開発しました。具体的には、S/4HANAで受注伝票を作成すると、伝票上の情報がBTPに連携され生成AIが複数の輸送経路と評価レポートを作成し、業務担当者に自動でメール通知、その担当者が選択した輸送経路が受注伝票に反映される仕組みです。
伏見氏(キャップジェミニ):アーキテクチャとしては、まず担当者が受注伝票を作成するとEvent Mesh(※4)に連携されて、SAP Build Process Automationが起動します。Process Automation がERP上の受注伝票の情報を取得し、その情報を生成AIにインプットしてレポートを作成します。その後SAP HANA Cloud(※5)にレポートを登録し、かつ定期的に新しく作られたレポートをユーザーに飛ばす仕組みになっております。
荒賀氏(PwCコンサルティング):作品紹介ありがとうございます。イベント当日のプレゼンテーションでプロンプトを工夫したとおしゃっていましたが、時間がもう少しあるとしたらどのような改善が可能だとお考えですか?
伏見氏(キャップジェミニ):評価の仕方に改善の余地があるかなと思います。SmartShipRoute NaviではAIに輸送経路のレポートの評価を指示していますが、その評価の精度を上げるために再帰的にバージョンアップできるようなプロンプトになったら、より正確な結果が得られると考えております。
3. PwCコンサルティング合同会社様(PwCガーディアンズ)
アプリケーション名:サポタツ -新時代の調達はリスク対応から始まる
昨今の複雑化した調達環境において、安定した調達の実現を支援するアプリケーション
守田氏(PwCコンサルティング):私たちが開発した「サポタツ」は、昨今の複雑化した調達環境において、安定した調達の実現を支援するアプリケーションです。サポタツには、①最適サプライヤ提案機能、②リスク検知・サプライヤレポート機能、③サプライヤ提案シミュレーション機能という三つの大きな機能があります。サポタツを通じて、経営戦略に直結した調達先の選定、リスク回避、Scope3(※6)を意識した調達先選定が可能になると考えており、将来的に調達コストの削減、売上拡大、ブランド価値の向上につながることを期待しております。
中澤氏(PwCコンサルティング):次はアーキテクチャの説明です。まず一つ目の大きな特徴は、すべてのアプリに同じ画面からアクセスできるように設定した点です。SAP Build Work Zone(※7)を通じて、リスク情報を設定する画面、現場の購買発注を登録する画面、AIが収集したリスク情報のレポート画面、リスク算出のシミュレーション画面に、すべて一つの画面からアクセスできます。二つ目は、BTP上で行ったAIのリスク算出結果を、SAPの標準機能を変更することなく呼び出せるように、外付けで拡張開発した点です。これにより、既存のSAP環境に影響を及ぼさないクリーンコアを維持した状態で、AIによるリスク評価を既存業務に取り込むことを実現しています。なお、今回のソリューションではTavily(※8)というサードパーティを使用しましたが、必要に応じてローカル情報や他のアプリに置き換えることも可能な設計としたため、企業毎にカスタマイズすることで、よりリスク評価の精度を高めることができます。
浅野氏(ベニック):私も在庫・購買のコンサルをしたことがあり、非常に素晴らしいソリューションだと思いながら拝聴しました。一点だけ疑問があります。購買段階よりも購買契約の段階で、このようなサプライヤリスクが重要になると思いますが、購買発注の段階で本ソリューションを設計した理由はありますでしょうか。
大塚氏(PwCコンサルティング):購買全体のソリューションを検討した際、もちろん契約も重要だと考えました。しかし今回は、管理者を介した承認といった後段のステップにもAIを活用する方針とし、実装環境や利用状況も踏まえて、発注および発注承認をメインターゲットとして開発しました。さらに、今回のソリューションは新規の購買契約に対するものというより、過去の取引実績に基づき、どのサプライヤが最適かを判断するロジックになっているため購買発注の段階でソリューションを設計しました。
伏見氏(キャップジェミニ):サポタツではさまざまな箇所でAIが使われていると思いますが、具体的にどこでAIが使われているのか説明していただけると嬉しいです。
中澤氏(PwCコンサルティング):今回、サポタツでは大きく2つの使い方でAIを活用しています。1つ目は、ユーザーがリスクやサプライヤに関する基本情報をテキスト入力する際に、AIが必要な項目を提案する点です。2つ目は、AIがニュースの収集および影響のあるサプライヤとの関連付け、リスクスコアの算出、最適サプライヤの提案までを自動で行う点です。
今回のハッカソンでBTPを利用して、特に気に入った機能などあれば教えてください。
荒賀氏(PwCコンサルティング):昨年のハッカソンにも参加しBTPを使いましたが、今回さらにバージョンアップしていると実感しました。まず、AI Launchpadで最新の生成AIモデルを選べる点が良かったです。SAP AI Core(※9)の新機能であるGroundingは、社内のローカルデータに容易にアクセスし、簡単にRAG(※10)を構成できる点が印象的でした。また、今回ハッカソン期間中には十分に活用しきれていませんが、Knowledge Graph(※11)を使って階層的なデータをSAP HANA Cloud上に保持できる点も、私たちのユースケースにも活用できる優れた機能だと思いました。AI以外では、ローコード/ノーコードでワークフローを簡単に開発できるSAP Build AppsやSAP Build Process Automationの機能追加がされ、昨年と比較して開発の効率性や柔軟性が更に向上したことが良いと感じました。
浅野氏(ベニック):お気に入りのBTP機能としては、私もSAP AI Coreの新機能であるGroundingが非常に便利だと感じて、活用しました。AI開発は、一般的な情報に業務に関わるローカル情報を掛け合わせて構築するのが一般的になると思いますので、汎用的にローカル情報を取得できる機能は非常に有用だと感じました。次に、SAP HANA Cloudのベクターエンジンです。ベクトル化が容易になったことで、RAGの実装がとても簡単になり、非常にありがたい機能でした。BTP以外では、Destination機能(※12)がとても便利でした。各APIの宛先情報を一元管理できる点が非常に有用でした。
伏見氏(キャップジェミニ):まず、皆さんがお話しされたとおり、BTPのAI新機能は本当に素晴らしいと感じました。BTPの強みとしては、S/4HANAとの高い統合性に加え、ローコード/ノーコードツールで開発できる環境が整っている点が非常に優れていると思います。これにより開発コストが下がり、開発未経験者でも開発に携われる世界が実現すると嬉しいです。
初めてBTPを使って開発する方に、どこから始めればよいのか簡単に教えてください。
向山氏(PwCコンサルティング):私もBTPとAIについては初心者に近い立場ですが、その観点でお答えします。まずはAI Coreを使うと、さまざまなAIモデルを試すことができるため、初めての方でも始めやすいと思います。特にAI Launchpadを使うことで、開発なしでもいろいろ試すことができ、そこから一歩進めてPythonを使えば、より柔軟に活用できるようになります。今回私が使ったのはAI機能とSAP Build Apps(※13)ですが、それだけでも簡単なアプリは作れるので、初心者の方でも非常に始めやすいと感じました。
浅野氏(ベニック):私もBTP開発の初心者ですが、BTPはSAP固有の技術に限定されず、汎用的な技術を多く採用しているため、とっつきやすいと感じます。私が主に使ったのはSAP Build Code(※14)で、ノーコードではなくコードを書くタイプですが、ゼロからすべてを書くのではなく、テンプレートをベースに必要な部分だけを書き換えられるため、初心者の方でも始めやすいと思います。
伏見氏(キャップジェミニ):今回のハッカソンではローコード/ノーコードツールを活用し、開発経験がまったくなかったメンバーも開発に参加できました。そのような観点からとっつきやすく、最初の一歩としても適しているため、SAP Build Process Automationをおすすめしたいです。
今後BTPに取り組む方ヘのメッセージ
中山氏(キャップジェミニ):今後BTPに取り組む方へ、「ERPコアに詳しくなくともBTPでソリューションを作れます」というメッセージを伝えたいです。例えばSAP業界への参入を考えているIT企業で、ERPコアに詳しくないため参入を迷っている企業様は、まずBTPから始めてみるのも良いと思います。そこから、ERPコアに詳しい企業と協業してお客様を支援することで、より成長できる道もあると考えます。
大塚氏(PwCコンサルティング):BTPを活用したAI導入は、S/4HANAのように大規模な準備をして始めるのではなく、小規模に始めて素早く回していくのが良いと思います。今回のハッカソンのように、BTPを活用すればAIのスモールスタートが可能です。SAP、パートナー企業、ユーザー企業が一体となって現場で活用できるようにしていけると思いますので、ぜひ一緒に頑張っていきましょう。
谷口氏(ベニック):これまでの話と重なる部分もありますが、私もERPとは少し異なる新しい領域が生まれていると感じました。ERPの世界では標準化や安定性が重視されてきましたが、BTPの領域はそれを踏まえつつ、革新性や自由な想像力を発揮できる新しいフィールドだと思います。要するに、これまでとは違う新しい世界があり、そこに一緒に挑戦していきたいというメッセージを読者の皆さまにお伝えしたいです。
あとがき
今回のファイナリストの皆さまへのインタビューを通じて、ハッカソンへの情熱と、BTPとAIというSAPの新しいフィールドの可能性を肌で感じることができ、非常に良い機会となりました。特に、BTPのAI機能を用いて、ここまで課題解決が進められるのかという驚きを覚えました。昨年に続き、今年も多くの方々にご参加いただき、熱い思いを示してくださり、誠にありがとうございます。来年以降も、より多くのパートナー・ユーザーの皆様にご参加いただき、BTPそしてBusiness AIへの理解・経験を高めていただき、日本の企業の皆様の変革をこのイベントからご支援していけるように、より一層頑張っていきたいと思います。(SAPノ)
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注釈
(※1)SAP Build Process Automationの機能
https://www.sap.com/japan/products/technology-platform/process-automation/features.html
(※2)SAP Business AI / Document Grounding
https://discovery-center.cloud.sap/ai-feature/fedeca14-3e69-472c-a0ea-82396735c35f/
(※3)SAP Service Managerについて
https://help.sap.com/docs/service-manager/sap-service-manager/sap-service-manager?locale=ja-JP
(※4)What is SAP Event Mesh?
https://help.sap.com/docs/event-mesh/event-mesh/what-is-sap-event-mesh
(※5)SAP HANA Cloud インテリジェントアプリケーションを大規模に建築
https://www.sap.com/japan/products/data-cloud/hana.html
(※6) Scope3とは?全15カテゴリの内容やCO2排出量の算定方法を紹介!
https://www.mitsui.com/solution/contents/solutions/visualize/41
(※7)SAP Build Work Zone ローコード・デジタルワークススペースを作る
https://www.sap.com/japan/products/technology-platform/workzone.html
(※8)Tavily Search API導入で変わるAIアプリケーション開発
https://qiita.com/syukan3/items/3011fd487fa2a4343b4a
(※9)What Is SAP AI Core?
https://help.sap.com/docs/sap-ai-core/sap-ai-core-service-guide/what-is-sap-ai-core
(※10)生成AIにおけるRAG(検索拡張成)とは?
https://www.hitachi-solutions.co.jp/katsubun/column/generative_ai003/
(※11)SAP Knowledge Graphとは?
https://www.sap.com/japan/products/artificial-intelligence/ai-foundation-os/knowledge-graph.html
(※12)SAP DestinationサービスによるBTPアプリでの統合
(※13)SAP Build Apps
https://learning.sap.com/products/sap-build/build-apps
(※14)SAP Build Codeの概要
はじめに 本ブログは「SAP BTP Hackathon 2025」において、一次選考を通過し、ファイナリストとなったPwCコンサルティング合同会社様(以下、PwCコンサルティング)、ベニックソリューション株式会社様(以下、ベニック)、キャップジェミニ株式会社様(以下、キャップジェミニ)の3社によって行われた座談会についての記事です。 本記事は、SAPジャパンが主催する「SAP BTP Hackathon 2025」にてファイナリストに選ばれた6社のうち、3社(PwCコンサルティング、ベニックソリューション、キャップジェミニ)を招いて実施した座談会の内容をまとめたものです。 「SAP BTP Hackathon 2025」は、SAPジャパン株式会社の主催するパートナー/お客様向けのハッカソンイベントです。おかげさまで、4年目の開催となった今年のハッカソンは、38社47チーム354名もの皆様に参加して頂く事ができました。2025年5月の参加者向けのEnablementセッションを皮切りに、6月には1週間にわたるハッカソンが開催されました。その後、SAPジャパンによる厳正な審査を経て、一次選考を通過した6チームがSAPジャパン本社に集結。当日は多くの参加者が見守る中、各チームが渾身のプレゼンテーションを披露し、その内容をもとに最終審査が行われました。そして、同イベント内で最優秀作品および最優秀チームが決定されました(開催日:7月9日[水])。 今年のハッカソンのテーマは、「SAP業務にAIでSurpriseを!それ、AIに任せません?」でした。このテーマにおいて、ファイナリストに選定された6社様を2組に分け、座談会という形で現在の率直な思いを赤裸々にお話しいただきました。チーム/座談会参加者紹介 1.ベニックソリューション株式会社様(チームベニック)チーム全体写真(写真左)浅野氏、谷垣氏、杉森氏、亀谷氏、堀川氏、谷口氏の6名で構成されたチームインタビューには以下の3名にご参加いただきました。(写真右)杉森大樹氏(コンサルタント):SAPソリューション3部所属。ERPの保守運用を担当。SAP関連の経験は約9年。BTP歴は今年から。浅野美音氏(コンサルタント):同部署にて、在庫購買管理コンサルを担当。BTP案件は今年から参画。BTP歴は今年から。谷口哲史氏(マネージャ):同部署にて、SAPソリューション部隊の管理職。SAP関連の経験は10年以上。2.PwCコンサルティング合同会社様(PwCガーディアンズ)チーム全体写真(写真左)の中山氏、伊藤氏、大塚氏、守田氏、荒賀氏、神谷氏、向山氏、田之頭氏、北村氏、中澤氏、浅野氏、市川氏の12名で構成されたチームインタビューには以下の6名にご参加いただきました。(写真右)大塚將司氏(マネージャー):チームリーダー。エンタープライズトランスフォーメーションコンサルティング事業部– Enterprise Solution所属 S/4HANAの拡張に関してBTP等を用いた開発や運用を担当。新卒から約19年SAP関連の仕事に携わる。BTP歴は約5年。SAP Business Technology Platformチャンピオン。荒賀貴司氏(シニアアソシエイト):同部署にて、S/4HANAの拡張に関してBTP等を用いた開発や運用を担当。約8年SAP関連の仕事に携わる。BTP歴は約4年。BTPハッカソンへの参加は3回目。伊藤匠理氏(シニアアソシエイト):同部署にて、SAP導入×生成AIの推進に携わる。約3年SAP関連の仕事に携わる。BTPの経験はほとんどゼロ。BTPハッカソンは2回目。守田拓哉氏(アソシエイト):同部署にて、S/4HANA、BTP導入を担当。新卒から約3年SAP関連の仕事に携わる。BTPハッカソンへの参加は今回が初めて。向山知花氏(アソシエイト):同部署にて、ECCからS/4HANAへのバージョンアップを担当。新卒から約3年SAP関連の仕事に携わる。BTPハッカソンへの参加は2回目。中澤健太氏(アソシエイト):同部署にて、Business Data Cloudのナレッジ蓄積を担当。新卒から約3年SAP関連の仕事に携わる。BTPの経験はSAC(SAP Analytics Cloud)、Datasphereを触ったことがある程度。3.キャップジェミニ株式会社様(BTCg)チーム全体写真(写真左)の伏見氏、中山氏、Korn氏、Julian氏、杉本氏、中村氏、郷古氏、亀田氏、三田村氏、本間氏、本澤氏、横田氏、小倉氏の13名で構成されたチームインタビューには以下の2名にご参加いただきました。(写真右)伏見譲氏(コンサルタント):PBS(Package-Based Solution)PracticeのAutomation Apps部門所属。ローコード/ノーコードツールを用いた業務改善を担当。SAP歴は今年から。BTP歴は今年から。中山大輔氏(シニアマネージャー):PBS(Package-Based Solution)PracticeのSAP部門所属。主にS/4HANAグローバル展開における会計領域の導入、運用保守並びにプロジェクトマネージャー担当。SAP関連の経験は約20年。BTP歴は今年から。 インタビュー内容一次選考を通過した時のお気持ちと社内の反応を教えてください。谷口氏(ベニック):今回はBTPハッカソンへの2年目のチャレンジでしたが、参加メンバーの通常業務が非常に忙しく、しかし多忙な中でも『まずは挑戦してみよう』という気持ちで臨みました。結果的に良い成果につながり、社内はかなりざわつきましたね。特に、ファイナリストに残った他社の社名を聞いたときは、皆が驚いていました。それになんと言っても社長もファイナルイベントに現地で参加して応援に駆けつけてくれるほど、大いに盛り上がりました。伊藤氏(PwCコンサルティング):昨年も参加していたため期待はありましたが、一次選考を通過した瞬間はチーム全員が安堵と喜びに包まれました。一次選考の結果が発表される前後の約1時間は不安の方が大きく、結果が出るまで何度も状況を確認するほど緊張していましたね。社内の上層部からの期待も今年は一層大きく、相当な重圧を感じていました。そして、ファイナリストの結果が出たときに一気に緊張がほどけ、そこからまた頑張ろうと思えました。中山氏(キャップジェミニ):アプリの開発と並行して当然ながら通常の業務もあり、多忙な毎日でしたが、一次選考通過の知らせで『努力が報われた』と実感しました。弊社も昨年ファイナリストに選定されており、その資料を見直すと完成度が非常に高かったため、忙しい中で昨年と同等の完成度まで仕上げられるか不安でした。しかし今回もファイナリストに選出され、非常に報われました。日本国内だけでなく、海外拠点のメンバーにも報告し、多くの祝福の声をいただきました。作品の紹介とディスカッション今年のハッカソンのテーマ「SAP業務にAIでSurpriseを!それ、AIに任せません?」を振り返りながら、各社様が開発されたソリューションについてディスカッションを行いました。1. ベニックソリューション株式会社様(チームベニック)アプリケーション名:BTP Enhancement News Intelligent Companion (仮称)SAP BTPのWhat’s Newを各社の環境に合わせて、どのニュースが必要かを生成AIで選別して届けるソリューション杉森氏(ベニック):BTP Enhancement News Intelligence Companion(仮称)、略して「BENIC」を紹介します。ホットなニュースを「読む」から「使える」へ。BENICは、BTPのWhat’s Newを各社の環境に合わせて、どのニュースが必要かを生成AIで選別して届けることをコンセプトにしています。私自身、日頃SAP ERPの保守業務でホットニュースを確認し、お客様ごとに何が関係し、どの程度影響するかをお伝えしていますが、手間がかかるうえ、お客様側でも本当に必要か判断が難しい状況がありました。これを解決するため、生成AIによる自動化と最適化のソリューションを考えました。杉森氏(ベニック):アーキテクチャとしては、入口がSAP Build Process Automation (※1)になります。APIで最新ニュースを取得し、AI Agentと連携。その後、Document Grounding(※2)によりHelp Portalのデータでニュースを補足します。さらにService Manager(※3)を使って自社のBTP環境情報や利用サービスを把握し、関連性を評価して、メールで配信する構成です。荒賀氏(PwCコンサルティング):ハッカソン当日のプレゼンを拝見し、実際に使ってみたいと思いました。今回のハッカソンではWhat’s Newを使われていましたが、それ以外のニュースにも活用できると感じています。今後どのように展開していくお考えでしょうか。杉森氏(ベニック):今回のハッカソンでは新技術情報が中心のWhat’s Newをメインにしましたが、今後は実業務の保守運用で必要となるホットニュースへの拡張を考えています。大塚氏(PwCコンサルティング):ベニックさんのソリューションは当日も非常に反響が大きく、「今まさに欲しい」と話題になりました。2点うかがいます。1つ目は、このソリューションは実運用されていますか。2つ目は、外販の予定はありますか。谷口氏(ベニック):まだ具体的な一歩は踏み出していませんが、自社の営業とは話をしており、正式なサービスとして立ち上げたいと考えています。2. キャップジェミニ株式会社様(BTCg)アプリケーション名:SmartShipRoute Navi海外輸送における最適輸送経路をAIが評価・提案し、ユーザーが選択できるソリューション伏見氏(キャップジェミニ):SmartShipRoute Naviを紹介します。これは受注伝票上の輸送経路をAIが評価・提案し、ユーザーが最適な輸送経路を選択できるアプリです。グローバルに事業を展開されている製造業様において、必ずしも最適な輸送経路・方法で製品を輸送できていないことに課題をお持ちのためこのソリューションを開発しました。具体的には、S/4HANAで受注伝票を作成すると、伝票上の情報がBTPに連携され生成AIが複数の輸送経路と評価レポートを作成し、業務担当者に自動でメール通知、その担当者が選択した輸送経路が受注伝票に反映される仕組みです。伏見氏(キャップジェミニ):アーキテクチャとしては、まず担当者が受注伝票を作成するとEvent Mesh(※4)に連携されて、SAP Build Process Automationが起動します。Process Automation がERP上の受注伝票の情報を取得し、その情報を生成AIにインプットしてレポートを作成します。その後SAP HANA Cloud(※5)にレポートを登録し、かつ定期的に新しく作られたレポートをユーザーに飛ばす仕組みになっております。荒賀氏(PwCコンサルティング):作品紹介ありがとうございます。イベント当日のプレゼンテーションでプロンプトを工夫したとおしゃっていましたが、時間がもう少しあるとしたらどのような改善が可能だとお考えですか?伏見氏(キャップジェミニ):評価の仕方に改善の余地があるかなと思います。SmartShipRoute NaviではAIに輸送経路のレポートの評価を指示していますが、その評価の精度を上げるために再帰的にバージョンアップできるようなプロンプトになったら、より正確な結果が得られると考えております。3. PwCコンサルティング合同会社様(PwCガーディアンズ)アプリケーション名:サポタツ -新時代の調達はリスク対応から始まる昨今の複雑化した調達環境において、安定した調達の実現を支援するアプリケーション守田氏(PwCコンサルティング):私たちが開発した「サポタツ」は、昨今の複雑化した調達環境において、安定した調達の実現を支援するアプリケーションです。サポタツには、①最適サプライヤ提案機能、②リスク検知・サプライヤレポート機能、③サプライヤ提案シミュレーション機能という三つの大きな機能があります。サポタツを通じて、経営戦略に直結した調達先の選定、リスク回避、Scope3(※6)を意識した調達先選定が可能になると考えており、将来的に調達コストの削減、売上拡大、ブランド価値の向上につながることを期待しております。中澤氏(PwCコンサルティング):次はアーキテクチャの説明です。まず一つ目の大きな特徴は、すべてのアプリに同じ画面からアクセスできるように設定した点です。SAP Build Work Zone(※7)を通じて、リスク情報を設定する画面、現場の購買発注を登録する画面、AIが収集したリスク情報のレポート画面、リスク算出のシミュレーション画面に、すべて一つの画面からアクセスできます。二つ目は、BTP上で行ったAIのリスク算出結果を、SAPの標準機能を変更することなく呼び出せるように、外付けで拡張開発した点です。これにより、既存のSAP環境に影響を及ぼさないクリーンコアを維持した状態で、AIによるリスク評価を既存業務に取り込むことを実現しています。なお、今回のソリューションではTavily(※8)というサードパーティを使用しましたが、必要に応じてローカル情報や他のアプリに置き換えることも可能な設計としたため、企業毎にカスタマイズすることで、よりリスク評価の精度を高めることができます。浅野氏(ベニック):私も在庫・購買のコンサルをしたことがあり、非常に素晴らしいソリューションだと思いながら拝聴しました。一点だけ疑問があります。購買段階よりも購買契約の段階で、このようなサプライヤリスクが重要になると思いますが、購買発注の段階で本ソリューションを設計した理由はありますでしょうか。大塚氏(PwCコンサルティング):購買全体のソリューションを検討した際、もちろん契約も重要だと考えました。しかし今回は、管理者を介した承認といった後段のステップにもAIを活用する方針とし、実装環境や利用状況も踏まえて、発注および発注承認をメインターゲットとして開発しました。さらに、今回のソリューションは新規の購買契約に対するものというより、過去の取引実績に基づき、どのサプライヤが最適かを判断するロジックになっているため購買発注の段階でソリューションを設計しました。 伏見氏(キャップジェミニ):サポタツではさまざまな箇所でAIが使われていると思いますが、具体的にどこでAIが使われているのか説明していただけると嬉しいです。中澤氏(PwCコンサルティング):今回、サポタツでは大きく2つの使い方でAIを活用しています。1つ目は、ユーザーがリスクやサプライヤに関する基本情報をテキスト入力する際に、AIが必要な項目を提案する点です。2つ目は、AIがニュースの収集および影響のあるサプライヤとの関連付け、リスクスコアの算出、最適サプライヤの提案までを自動で行う点です。今回のハッカソンでBTPを利用して、特に気に入った機能などあれば教えてください。荒賀氏(PwCコンサルティング):昨年のハッカソンにも参加しBTPを使いましたが、今回さらにバージョンアップしていると実感しました。まず、AI Launchpadで最新の生成AIモデルを選べる点が良かったです。SAP AI Core(※9)の新機能であるGroundingは、社内のローカルデータに容易にアクセスし、簡単にRAG(※10)を構成できる点が印象的でした。また、今回ハッカソン期間中には十分に活用しきれていませんが、Knowledge Graph(※11)を使って階層的なデータをSAP HANA Cloud上に保持できる点も、私たちのユースケースにも活用できる優れた機能だと思いました。AI以外では、ローコード/ノーコードでワークフローを簡単に開発できるSAP Build AppsやSAP Build Process Automationの機能追加がされ、昨年と比較して開発の効率性や柔軟性が更に向上したことが良いと感じました。浅野氏(ベニック):お気に入りのBTP機能としては、私もSAP AI Coreの新機能であるGroundingが非常に便利だと感じて、活用しました。AI開発は、一般的な情報に業務に関わるローカル情報を掛け合わせて構築するのが一般的になると思いますので、汎用的にローカル情報を取得できる機能は非常に有用だと感じました。次に、SAP HANA Cloudのベクターエンジンです。ベクトル化が容易になったことで、RAGの実装がとても簡単になり、非常にありがたい機能でした。BTP以外では、Destination機能(※12)がとても便利でした。各APIの宛先情報を一元管理できる点が非常に有用でした。伏見氏(キャップジェミニ):まず、皆さんがお話しされたとおり、BTPのAI新機能は本当に素晴らしいと感じました。BTPの強みとしては、S/4HANAとの高い統合性に加え、ローコード/ノーコードツールで開発できる環境が整っている点が非常に優れていると思います。これにより開発コストが下がり、開発未経験者でも開発に携われる世界が実現すると嬉しいです。初めてBTPを使って開発する方に、どこから始めればよいのか簡単に教えてください。向山氏(PwCコンサルティング):私もBTPとAIについては初心者に近い立場ですが、その観点でお答えします。まずはAI Coreを使うと、さまざまなAIモデルを試すことができるため、初めての方でも始めやすいと思います。特にAI Launchpadを使うことで、開発なしでもいろいろ試すことができ、そこから一歩進めてPythonを使えば、より柔軟に活用できるようになります。今回私が使ったのはAI機能とSAP Build Apps(※13)ですが、それだけでも簡単なアプリは作れるので、初心者の方でも非常に始めやすいと感じました。浅野氏(ベニック):私もBTP開発の初心者ですが、BTPはSAP固有の技術に限定されず、汎用的な技術を多く採用しているため、とっつきやすいと感じます。私が主に使ったのはSAP Build Code(※14)で、ノーコードではなくコードを書くタイプですが、ゼロからすべてを書くのではなく、テンプレートをベースに必要な部分だけを書き換えられるため、初心者の方でも始めやすいと思います。伏見氏(キャップジェミニ):今回のハッカソンではローコード/ノーコードツールを活用し、開発経験がまったくなかったメンバーも開発に参加できました。そのような観点からとっつきやすく、最初の一歩としても適しているため、SAP Build Process Automationをおすすめしたいです。今後BTPに取り組む方ヘのメッセージ中山氏(キャップジェミニ):今後BTPに取り組む方へ、「ERPコアに詳しくなくともBTPでソリューションを作れます」というメッセージを伝えたいです。例えばSAP業界への参入を考えているIT企業で、ERPコアに詳しくないため参入を迷っている企業様は、まずBTPから始めてみるのも良いと思います。そこから、ERPコアに詳しい企業と協業してお客様を支援することで、より成長できる道もあると考えます。大塚氏(PwCコンサルティング):BTPを活用したAI導入は、S/4HANAのように大規模な準備をして始めるのではなく、小規模に始めて素早く回していくのが良いと思います。今回のハッカソンのように、BTPを活用すればAIのスモールスタートが可能です。SAP、パートナー企業、ユーザー企業が一体となって現場で活用できるようにしていけると思いますので、ぜひ一緒に頑張っていきましょう。谷口氏(ベニック):これまでの話と重なる部分もありますが、私もERPとは少し異なる新しい領域が生まれていると感じました。ERPの世界では標準化や安定性が重視されてきましたが、BTPの領域はそれを踏まえつつ、革新性や自由な想像力を発揮できる新しいフィールドだと思います。要するに、これまでとは違う新しい世界があり、そこに一緒に挑戦していきたいというメッセージを読者の皆さまにお伝えしたいです。 あとがき 今回のファイナリストの皆さまへのインタビューを通じて、ハッカソンへの情熱と、BTPとAIというSAPの新しいフィールドの可能性を肌で感じることができ、非常に良い機会となりました。特に、BTPのAI機能を用いて、ここまで課題解決が進められるのかという驚きを覚えました。昨年に続き、今年も多くの方々にご参加いただき、熱い思いを示してくださり、誠にありがとうございます。来年以降も、より多くのパートナー・ユーザーの皆様にご参加いただき、BTPそしてBusiness AIへの理解・経験を高めていただき、日本の企業の皆様の変革をこのイベントからご支援していけるように、より一層頑張っていきたいと思います。(SAPノ)関連記事SAP BTP Hackathon 2025 最優秀賞個別インタビューSAP BTP Hackathon 2025 ファイナリスト座談会 Vol.1注釈(※1)SAP Build Process Automationの機能https://www.sap.com/japan/products/technology-platform/process-automation/features.html(※2)SAP Business AI / Document Groundinghttps://discovery-center.cloud.sap/ai-feature/fedeca14-3e69-472c-a0ea-82396735c35f/(※3)SAP Service Managerについてhttps://help.sap.com/docs/service-manager/sap-service-manager/sap-service-manager?locale=ja-JP(※4)What is SAP Event Mesh?https://help.sap.com/docs/event-mesh/event-mesh/what-is-sap-event-mesh(※5)SAP HANA Cloud インテリジェントアプリケーションを大規模に建築https://www.sap.com/japan/products/data-cloud/hana.html(※6) Scope3とは?全15カテゴリの内容やCO2排出量の算定方法を紹介!https://www.mitsui.com/solution/contents/solutions/visualize/41(※7)SAP Build Work Zone ローコード・デジタルワークススペースを作るhttps://www.sap.com/japan/products/technology-platform/workzone.html(※8)Tavily Search API導入で変わるAIアプリケーション開発https://qiita.com/syukan3/items/3011fd487fa2a4343b4a(※9)What Is SAP AI Core?https://help.sap.com/docs/sap-ai-core/sap-ai-core-service-guide/what-is-sap-ai-core(※10)生成AIにおけるRAG(検索拡張成)とは?https://www.hitachi-solutions.co.jp/katsubun/column/generative_ai003/(※11)SAP Knowledge Graphとは?https://www.sap.com/japan/products/artificial-intelligence/ai-foundation-os/knowledge-graph.html(※12)SAP DestinationサービスによるBTPアプリでの統合https://help.sap.com/docs/sap-btp-abap-environment/abap-environment/integration-in-btp-apps-via-sap-destination-service?locale=ja-JP(※13)SAP Build Appshttps://learning.sap.com/products/sap-build/build-apps(※14)SAP Build Codeの概要https://help.sap.com/docs/build_code/d0d8f5bfc3d640478854e6f4e7c7584a/504854f457cc4fbf9f79136dbc773618.html?locale=ja-JP Read More Technology Blog Posts by SAP articles
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