はじめに
本ブログは「SAP BTP Hackathon 2024」において、最優秀賞を受賞されたPwCコンサルティング合同会社様の個別インタビュー記事です。
「SAP BTP Hackathon 2024」は、SAPジャパン株式会社が主催するパートナー/お客様向けのハッカソンイベントです。3年目の開催となった今年のハッカソンは、41社53チーム341名が参加されました。
2024年4月よりEnablementセッションを実施し、同年6月より1週間のハッカソンを行いました。その後SAPジャパンによる選考を経て、6/27(金)にSAPジャパン本社会場にて一次選考を突破したファイナリストチーム6組が集まり、たくさんの参加者が見守る中で、渾身のプレゼンテーションを行い、最優秀作品とチームを決める最終選考イベントを実施いたしました。
求める情報に関する有識者の検索とその有識者との対話機会の創出により、企業のEX(従業員エクスペリエンス)の向上を図るアプリケーションを着想・開発し、見事最優秀賞を受賞されたPwCコンサルティング合同会社様(以下、PwCコンサルティング)”やさしいPチーム“の方々にお越しいただき、お話をお聞きしました。
チーム/インタビュー参加者紹介
写真左から、荒賀氏、矢野氏、向山氏、伊藤氏、横瀬氏、中山氏、右上に田之頭氏、そのほか曾氏、陳氏の9名で構成されたチーム。
インタビューには以下の6名が参加されました。
中山氏(ディレクター):ET-ES(Enterprise Transformation- Enterprise Solution)所属。SAPをはじめとした様々なテクノロジーを活用し、お客様の課題解決に従事。約15年SAP関連を担当。
荒賀氏(コンサルタント):同部署にて、CoE(Center of Excellence)としてExtension Suiteを中心にBTPの技術調査、機能調査に従事。SAPコンサルタント歴7年、BTPは約3年。
伊藤氏(コンサルタント):同部署にて、生成AIの機能開発に従事。Hack2Buildへの参加経験あり。SAPコンサルタント歴は約2年。
田之頭氏(コンサルタント):同部署にて、主に管理会計領域でSAPコンサルタントとして従事。SAP、BTPの経験はともに約2年。
向山氏(コンサルタント):同部署にて、プロセスマイニング・マイグレーションなど、社内のCoEとしてナレッジの蓄積に従事。SAPコンサルタント歴は約2年、BTPは今回のハッカソンで初。
横瀬氏(コンサルタント):同部署にて、SAPのBasis担当としてS/4 HANAの導入に従事。SAPコンサルタント歴としては17年。ほかの開発経験含め、BTPは今回のハッカソンで初。
インタビュー内容
本インタビューでは、今回のハッカソン、BTP、今後の方針の大きく3つに分けてPwCコンサルティング様にお話をお聞きしました。
受賞されたときのご感想をお聞かせください
(伊藤氏)素直に嬉しかったですし、何よりほっとしました。技術的な経験のないチームメンバーがSAP Business Technology Platform(※1)(以下、BTP)のキャッチアップや開発の部分で苦労している姿を見ていたので、発表が終わり優勝と聞いたときは本当に報われたと思いました。自分が担当していたソリューション全体のストーリーという部分も、責任を感じつつ当日発表していたので、本当にうれしかったです。
(中山氏)最終プレゼン当日、海外出張のためオンラインから当社のプレゼンを見学させていただいておりました。優勝の言葉を聞いた際は、空港で隣にいた社員とガッツポーズして周りに変な目で見られてしまいました(笑)。細部にわたって無茶ぶりも全部受け止めてくれたチームだったので、優勝して本当によかったです。
最優秀賞を受賞したことを社内に伝えた際にどのような反応がありましたか
(伊藤氏)「おめでとう!」という言葉は社内でも数多く頂いております。優勝の際のプレートは今でも社内で飾らせていただいていて、それに対しても社内の皆さんから様々なコメントを頂けて本当にうれしい状況です。
(中山氏)昨年のAPJでのSAPハッカソン「Hack2Build」に引き続き、当社パートナーの皆さんから優勝の祝賀会を開いていただけるとのことで、社内でも注目度が上がっています。私たちとしても、対外的に当社の技術力をアピールする場や、若手のコンサルタントが活躍できる場として活用していきたいと考えています。
SAPソリューションのラストワンマイルを解決するという今回のテーマの中で、優勝の決め手は何だったと思いますか
(伊藤氏)優勝の要因はストーリーと機能のかけ合わせだと感じています。今回のソリューション開発において、ESG経営をテーマに掲げました。特に人的資本の重要性が高まる中で、SAP製品の特性との相乗効果を追求し、提供する価値を広げるストーリーを描きました。このストーリーと実際に実装できた機能が調和し、優勝につながったと考えています。
なぜこのテーマを選択されたのですか?
(伊藤氏)普段SAPコンサルタントとして働く中で、専門性が高い目の前の課題をどのように解決しようか悩んでしまう場面が多くあります。そのような時に、普段の業務を通して社内でのつながりをもっと作る必要性について感じていました。社内での人のつながりを増やすことは課題解決のサイクルの質を向上させ、よりよい従業員体験の実現、延いては従業員エンゲージメントの向上につながると考えています。その結果として、新たな働き方の時代における従業員エンゲージメントの向上にもつながりますし、最終的にSAPの機能の解決(ラストワンマイルの解決)にもつながると考えました。
(中山氏)正直テーマを見た際、ラストワンマイルとは何かというところから始まりました。 PwCのパーパスとして「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というのがあり、BTPに限らず新しいテクノロジーをうまく活用し、どういうところに対して社会に貢献していくかというマインドでストーリーを考え始めたという部分はPwCらしさが出た部分だと思います。
チームで作品を作り上げる中で印象的だったエピソードや困難があれば教えてください
(横瀬氏)私は普段開発をやっていないのですが、ローコード/ノーコード開発ってこういう仕組みなのだというのを実際に触れながら把握することができたので、そこが一番印象深い思い出です。
(向山氏)私はBTPの経験が全くなく、試行錯誤しながら開発を進めていったので正直大変でした。それぞれコンサルタントとして、プロジェクトをしながらのハッカソンだったので、基本的に業務外の時間に進めることが多かったです。スケジュール的に大変でしたが、その中に楽しさもあり、学生時代の文化祭を思い出しました。
(田之頭氏)個々の得意分野によって上手に役割分担できたのが印象的でした。そのおかげで完成度が高いものができたと思います。初めてBTPに触れるメンバーに短期間でキャッチアップしてもらうというのは大変ではありましたが、BTPは初学者の方でも結構触りやすいのが特徴だと思いました。UIを作るにあたっても、一目ではわからないような細かい箇所までシビアなフィードバックを頂きながら完成度が高いものにできたと思っています。
開発期間がもう少しあったとしたら、どんなことに取り組みたかったでしょうか?
(田之頭氏)大きく2つあります。ひとつ目が機能の拡張です。今回のハッカソンでは、私たちの実現したいことに対し機能の全体像を描き、特にユーザーに届けたい部分に絞って実装しました。ESGレポートの詳細出力など、今回実装できなかった機能が実装できたらと思っています。ふたつ目がUIのブラッシュアップです。今回のハッカソン内でもかなりこだわったUIにしたのですが、普段使っているアプリケーションに比べるとまだ劣っているものがあると感じています。市場に出回っているようなアプリレベルまでこだわれたらなと思います。
(荒賀氏)認証系のところや生成AIの活用範囲を広げる部分です。例えば、今回質問者と有識者のやり取りがあったと思いますが、その回答をVector DB(※2)に入れて、過去の回答を参照できる状態にできればより良かったと思います。今回は人的資本に着目し、質問者が有識者に質問することができるアプリケーションを作成しました。さらに従業員のカバー範囲を広げ、質問者の感情面などにアプローチできていれば、より従業員エクスペリエンスの向上につながるアプリケーションを作成できたと思っています。
今回のハッカソンを通じてBTPのここが良い、と思ったポイントを教えてください
(向山氏)様々な機能と連携できることに驚きました。SAPソリューション同士の連携もそうですし、Pythonで書いたアプリとの連携など、組み合わせが無限にあるのが良かったです。SAPでの開発となるとABAP(※3)でするものだと思っていたので、最初は正直ドキドキしていましたが、Pythonだけで実装まで持って行けたので初めての方にも使いやすいと思いました。UIの部分もBuild Apps(※4)などが視覚的にわかりやすく、少し教えてもらっただけで初めての私でもさっと作ることができました。
(荒賀氏)ローコード/ノーコード開発という概念によって、本来開発への関わりが薄いコンサルタントの方や、業務ユーザーの方に開発を体験する場を提供できるというのが大きいと思いました。 また、ABAPerの方とオープンソースの方をつなげる役割もあると思いました。これまではABAPとオープンソースでの開発には、それぞれ壁があったように感じます。BTPがそれぞれの開発者の方をつなげる機会になるのではないかと感じています。
初めてBTPに触れてみて、どのような印象を持ちましたか
(横瀬氏)未経験者でも敷居が低いというのは感じました。一般的なアプリ開発であれば、何かをインストールして環境を整えるのに時間がかかってしまいますが、BTPではブラウザで一通りのことができました。普段の業務でもオフショア開発の経験があったのですが、開発規約などをお伝えして開発環境を作るところからお願いするのが大変に感じていました。共有のしやすさなどもBTPは優れていると思います。
(向山氏)開発環境がブラウザ上で完結している点は本当に良いポイントだと思います。社内で開発用のPCを借りたのですが、正直一度も使いませんでした(笑)。BTPは機能がたくさんあり、何から始めて良いかわからない部分もありましたが、慣れてくると使いやすい機能ばかりでした。
逆に、BTPにこのような機能があればいい、というものはありますか
(向山氏)ベクトル化の部分です。今回のハッカソンでは、HANA Cloud(※5)のベクトルエンジンを使用しましたが、ベクトル化する部分はPythonで行いました。ベクトル化に関してもBTPで完結していればよりスムーズに開発ができていたと思います。
(荒賀氏) ローコード/ノーコードで開発できる部分がまだ少ないところです。最終的にお客様に使っていただけるように実装しようと思うと、まだどこかでコーディングが入ってきます。今回のハッカソンでもエキスパートに力を借りる場面がありました。年々カバー範囲が広がっているのですが、製品化までの部分をすべてローコード/ノーコードでできればより良いと思います。
BTPは機能が多く、初めての方はどこから手を付けていいかわからない方も多いかと思います。そのような方たちにどの機能から使うことをお勧めしますか。また、まずは作成物としてどのようなツールを作るのが良いと思いますか。
(田之頭氏)ユーザーが実際に見る、フロントエンド部分の実装がいいと思います。全く触ったことのない方は、まずそのような箇所から始めて、裏でどのようにシステムが動いているかイメージするとバックエンド側の理解も深まるのでお勧めです。
作成物に関しては、簡単な社内ツール作成がいいと思います。今回のハッカソンのラーニングの際にSAPから例を出されていた在庫管理ツールなど、社内で使えるツールだと簡単に作れますし、社内で効果が鮮明に見えるのがいいと思います。
(荒賀氏)当社のプロジェクトでよく見かけるのは、Business Application Studio(※6)のFiori elements(※7)です。デプロイ先をS/4HANAにすると、開発ツールがSide-by-Side(※8)で、その開発したFioriアプリケーションのデプロイ先はIn-App(※8)のようになります。この開発方法は、Fioriでのアドオン開発には必要になってくるので、需要が高いという意味でこれから使っていくパートナーの方には非常におすすめですし、提案しやすいものだと思います。
今回のハッカソンを通じて感じたSAPのAIに対しての印象を教えてください
(向山氏)HANA DBにベクトルエンジンが導入されたと思います。今回のハッカソンでも私たちはRAGを使いましたが、DBとAIの連携において、RAGをすぐ導入できたため、すごく使いやすかったと思います。機密情報を使っていても学習に使われないという部分が安心して使える印象です。社内にAIのチームがあるので、今後も連携しつつ、既存の製品にプラスアルファで何か新しいソリューションを作っていきたいです。
(荒賀氏)AzureやAWS、GCPなど選択肢が与えられているという中立性があるのが、他の生成AIサービスとの違いだと思います。Joule(※9)というSAPの生成AIサービスでは、業務ユーザーであれば分析系、コンサルタントであればカスタマイズやアプリの調査の効率化など、エンジニアであればBuild Code(※10)などのコード生成機能など、あらゆる領域に組み込まれて便利だと感じています。一方でJouleでカバーしきれない領域においては、AI Launchpad(※11)、AI Coreを活用したカスタムの生成AIシナリオの提案ができればと考えます。
今回のハッカソンを通じて自身のキャリアにどのように生かすことができるとお考えですか
(横瀬氏)当社の立場として、BTPを使うこともあれば、ユーザー企業の目線で評価する立場に回ることも多くあります。これまでは、できることはわかりつつも、自分自身の経験はない中で評価をしていたのが正直なところでした。今回のハッカソンにおいて自分で手を動かしたことで、今後はバックエンド側の仕組みや、BTPを使う際のメリットデメリットを押さえたうえで評価ができると思います。
(田之頭氏)今回のハッカソンは最新技術のキャッチアップ的な要素が大きくありました。自分のチーム限らず、他社さんの事例も見ながらキャッチアップできたので良い勉強になりました。かねてより、システム側に強い人材になりたいと思っていましたが、今回のハッカソンを通じて、それだけでは戦えないことも痛感いたしました。どうビジネスに組み込んでいくかなど、今後キャリアを積んでいく上で大事にしたいと考えています。
(伊藤氏)今回のハッカソンでのキャッチアップをもとに、今後参画するプロジェクトの幅が広がればなと感じています。これまでは、アプリケーション開発など、少し構えてしまう部分もありましたが、ハッカソンを通じてハードルが下がったと思います。今後SAPコンサルタントとして提案をしていく中でも、どのようにビジネスバリューを考えて伝えていくか、それを体験する良い機会になりました。
来年以降、BTPハッカソンがこんなイベントになってほしいといった思いがあれば教えてください
(中山氏)今回のハッカソンでは、デリバリーを担当するようなSAPのパートナー企業の参加が多かったと思います。今後は、ユーザー企業とのコラボレーションができたらより面白いハッカソンになると思います。おそらく複数社で合同のハッカソンとなると、時間の制約など、進めていく上で難しい点も多いと思いますが、そのような環境の中で生まれる作品が世の中にとって本当に意味のあるものになると感じています。
(荒賀氏)今回のハッカソンでは、当社はBTPの環境が整っていて、予算も確保されていましたため、生成AI機能などを柔軟に活用ができたと感じています。ただ、生成AIとなるとAI CoreのExtended planなどで予算が下りないなど、生成AIの機能を諦めてしまった参加企業もいらっしゃったのではないかと思います。環境の提供など、SAPにしていただけるのであれば、より良い作品が生まれるのではないかと思いました。 また、前回のAPJのハッカソンに参加したときに思ったことなのですが、グローバルイベントになったとたん日本の存在感が弱くなってしまった印象を持ちました。これを機に、グローバルに挑戦する企業も増えたらいいと思いました。
最後に、今このブログを読んでBTPや来年以降のハッカソンに一歩踏み出そうか悩んでいる方に向けてメッセージをお願いします。
(横瀬氏)開発経験のない私でも参加できました、ということをお伝えしたいです。興味があれば未経験の方でもぜひ一歩踏み出してみましょう!
(向山氏)最初は「本当に大丈夫かな」という部分が大きかったのですが、実機を使ってみることで自分のできることの多さに気づきました。今後興味のある方がいればぜひ一歩、ワークショップなど最初に説明いただける機会もあるので、踏み出す経験としてご活用いただければと思います。
(田之頭氏)今後どんどん拡張機能の重要性が増していくと感じています。まずは一歩目として、ハッカソンはキャッチアップをする場としては本当に整っていると思います。これをBTPを知り始めるきっかけにしていただければ嬉しいです。
(伊藤氏)BTPにはじめて取り組む方の中には、「難しい」と思われる方も多いのではないかと思います。ただ、距離が近いチームでミスをしても許容してもらえる環境で挑戦することができるいい機会だと考えています。ぜひ怖がらずに参加してみてください。
(荒賀氏)「スキルに自信がない」「開発スキルに自信がない」「自分に開発は関係ない」と思う方こそぜひ参加してもらいたいです。普段開発を経験されない方に参加いただくことで「Business×Tech」を間近で体験していただきたいです。SAPから手厚いサポートもあるので、スキルに自信がない方も安心して参加してみてください。
(中山氏)今回のハッカソンは昨年に比べ、約1.5倍の参加があったと思います。世の中の流れ的にも、SAPにおける拡張開発の可能性を実感できたイベントでした。日々の業務の中で課題を感じる方や、何かしらこうするとより良いと感じている方は、自分のちょっとした悩みやアイデアを、テクノロジーを使ってどのように実現できるのか考える場としてハッカソンを活用いただければ嬉しいです。チャンピオンとして来年はお待ちしています!
あとがき
今回のPwCコンサルティング合同会社様へのインタビューを通じて、会社全体から感じるハッカソン優勝へのこだわりとBTPやSAP Business AIへの期待を感じました。また、経験の有無を問わず、ハッカソンが最新技術のキャッチアップやキャリア形成において良い機会であることが強く伝わりました。
まだまだ、BTPの活用や開発について、ハードルを感じられる方も正直多いのではないかと思います。来年以降も、開発経験問わず多くの方にご参加いただき、ビジネスとテクノロジーのイノベーションを起こすチャンスを提供したいと思いました。(SAP 西山)
関連記事
(※1)SAP Business Technology Platform:SAPの提供するプラットフォームサービスで、データとアナリティクス、人工知能、アプリケーション開発、自動化、統合の機能をまとめて提供している。
https://www.sap.com/japan/products/technology-platform/what-is-sap-business-technology-platform.html
(※2)Vector DB:正式には、SAP HANA Cloud Vector Engineのこと。SAP HANA Cloud のマルチモデルエンジンに新たに追加された機能で、顧客は2つ以上のベクトル間の類似性を利用してビジネス上の問題を解決することができる。
https://news.sap.com/2024/04/sap-hana-cloud-vector-engine-ai-with-business-context/
(※3)ABAP:SAPシステムを構成するプログラミング言語のことで、主にアドオン開発に使用される。
https://help.sap.com/doc/abapdocu_751_index_htm/7.51/en-US/index.htm
(※4)HANA Cloud:BTPにおけるデータベース管理基盤のこと。データへのアクセスの迅速化、柔軟な拡張を実現することができる。
https://discovery-center.cloud.sap/serviceCatalog/sap-hana-cloud?region=all
(※5)Build Apps:ドラッグ&ドロップを中心にマウス操作でアプリケーションを開発することができるローコード・ノーコードアプリケーション開発ツールのこと。
https://www.sap.com/japan/products/technology-platform/low-code-app-builder.html
(※6)Business Application Studio:SAPソリューションを拡張するためのクラウドベースの開発ツール。プロコードでアプリケーションの開発ができる。
https://www.sap.com/japan/products/technology-platform/business-application-studio.html
(※7)Fiori elements:ビジネスアプリを作成することのできる設計システムのこと。SAP S/4HANAやその他のエンタープライズソフトウェアソリューションと整合する独自のアプリを迅速に構築およびカスタマイズすることができる。
https://experience.sap.com/fiori-design-web/smart-templates/
(※8)Side-by-Side、In-App:ERPの拡張開発を行う際の手法のこと。Side-by-Side開発では、ERPパッケージとは別の基盤で開発を行うのに対し、In-App開発では、ERPの内部で開発を行う。
(※9)Joule:SAPの提供する、自然言語生成型AIコパイロットのこと。複数のシステムからデータを迅速に分類し、文脈を整理してよりスマートなインサイトを提示する。
https://www.sap.com/japan/products/artificial-intelligence/ai-assistant.html
(※10)Build Code:JavaおよびJavaScriptアプリケーション開発向けに最適化された、Jouleコパイロットを活用した生成AIベースのコード開発ツールのこと。
https://help.sap.com/doc/a3a8555189a0481fb69c68f60142fa10/SHIP/ja-JP/FSD_jp.pdf
(※11)AI Launchpad:BTP上で提供されるSaaS製品。複数のインスタンスでのAIのユースケースを管理することができる。
https://help.sap.com/docs/ai-launchpad?locale=en-US
はじめに本ブログは「SAP BTP Hackathon 2024」において、最優秀賞を受賞されたPwCコンサルティング合同会社様の個別インタビュー記事です。 「SAP BTP Hackathon 2024」は、SAPジャパン株式会社が主催するパートナー/お客様向けのハッカソンイベントです。3年目の開催となった今年のハッカソンは、41社53チーム341名が参加されました。 2024年4月よりEnablementセッションを実施し、同年6月より1週間のハッカソンを行いました。その後SAPジャパンによる選考を経て、6/27(金)にSAPジャパン本社会場にて一次選考を突破したファイナリストチーム6組が集まり、たくさんの参加者が見守る中で、渾身のプレゼンテーションを行い、最優秀作品とチームを決める最終選考イベントを実施いたしました。 求める情報に関する有識者の検索とその有識者との対話機会の創出により、企業のEX(従業員エクスペリエンス)の向上を図るアプリケーションを着想・開発し、見事最優秀賞を受賞されたPwCコンサルティング合同会社様(以下、PwCコンサルティング)”やさしいPチーム“の方々にお越しいただき、お話をお聞きしました。 チーム/インタビュー参加者紹介 写真左から、荒賀氏、矢野氏、向山氏、伊藤氏、横瀬氏、中山氏、右上に田之頭氏、そのほか曾氏、陳氏の9名で構成されたチーム。 インタビューには以下の6名が参加されました。 中山氏(ディレクター):ET-ES(Enterprise Transformation- Enterprise Solution)所属。SAPをはじめとした様々なテクノロジーを活用し、お客様の課題解決に従事。約15年SAP関連を担当。 荒賀氏(コンサルタント):同部署にて、CoE(Center of Excellence)としてExtension Suiteを中心にBTPの技術調査、機能調査に従事。SAPコンサルタント歴7年、BTPは約3年。 伊藤氏(コンサルタント):同部署にて、生成AIの機能開発に従事。Hack2Buildへの参加経験あり。SAPコンサルタント歴は約2年。 田之頭氏(コンサルタント):同部署にて、主に管理会計領域でSAPコンサルタントとして従事。SAP、BTPの経験はともに約2年。 向山氏(コンサルタント):同部署にて、プロセスマイニング・マイグレーションなど、社内のCoEとしてナレッジの蓄積に従事。SAPコンサルタント歴は約2年、BTPは今回のハッカソンで初。 横瀬氏(コンサルタント):同部署にて、SAPのBasis担当としてS/4 HANAの導入に従事。SAPコンサルタント歴としては17年。ほかの開発経験含め、BTPは今回のハッカソンで初。 インタビュー内容 本インタビューでは、今回のハッカソン、BTP、今後の方針の大きく3つに分けてPwCコンサルティング様にお話をお聞きしました。 受賞されたときのご感想をお聞かせください (伊藤氏)素直に嬉しかったですし、何よりほっとしました。技術的な経験のないチームメンバーがSAP Business Technology Platform(※1)(以下、BTP)のキャッチアップや開発の部分で苦労している姿を見ていたので、発表が終わり優勝と聞いたときは本当に報われたと思いました。自分が担当していたソリューション全体のストーリーという部分も、責任を感じつつ当日発表していたので、本当にうれしかったです。 (中山氏)最終プレゼン当日、海外出張のためオンラインから当社のプレゼンを見学させていただいておりました。優勝の言葉を聞いた際は、空港で隣にいた社員とガッツポーズして周りに変な目で見られてしまいました(笑)。細部にわたって無茶ぶりも全部受け止めてくれたチームだったので、優勝して本当によかったです。 最優秀賞を受賞したことを社内に伝えた際にどのような反応がありましたか (伊藤氏)「おめでとう!」という言葉は社内でも数多く頂いております。優勝の際のプレートは今でも社内で飾らせていただいていて、それに対しても社内の皆さんから様々なコメントを頂けて本当にうれしい状況です。 (中山氏)昨年のAPJでのSAPハッカソン「Hack2Build」に引き続き、当社パートナーの皆さんから優勝の祝賀会を開いていただけるとのことで、社内でも注目度が上がっています。私たちとしても、対外的に当社の技術力をアピールする場や、若手のコンサルタントが活躍できる場として活用していきたいと考えています。 SAPソリューションのラストワンマイルを解決するという今回のテーマの中で、優勝の決め手は何だったと思いますか (伊藤氏)優勝の要因はストーリーと機能のかけ合わせだと感じています。今回のソリューション開発において、ESG経営をテーマに掲げました。特に人的資本の重要性が高まる中で、SAP製品の特性との相乗効果を追求し、提供する価値を広げるストーリーを描きました。このストーリーと実際に実装できた機能が調和し、優勝につながったと考えています。 なぜこのテーマを選択されたのですか? (伊藤氏)普段SAPコンサルタントとして働く中で、専門性が高い目の前の課題をどのように解決しようか悩んでしまう場面が多くあります。そのような時に、普段の業務を通して社内でのつながりをもっと作る必要性について感じていました。社内での人のつながりを増やすことは課題解決のサイクルの質を向上させ、よりよい従業員体験の実現、延いては従業員エンゲージメントの向上につながると考えています。その結果として、新たな働き方の時代における従業員エンゲージメントの向上にもつながりますし、最終的にSAPの機能の解決(ラストワンマイルの解決)にもつながると考えました。 (中山氏)正直テーマを見た際、ラストワンマイルとは何かというところから始まりました。 PwCのパーパスとして「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というのがあり、BTPに限らず新しいテクノロジーをうまく活用し、どういうところに対して社会に貢献していくかというマインドでストーリーを考え始めたという部分はPwCらしさが出た部分だと思います。 チームで作品を作り上げる中で印象的だったエピソードや困難があれば教えてください (横瀬氏)私は普段開発をやっていないのですが、ローコード/ノーコード開発ってこういう仕組みなのだというのを実際に触れながら把握することができたので、そこが一番印象深い思い出です。 (向山氏)私はBTPの経験が全くなく、試行錯誤しながら開発を進めていったので正直大変でした。それぞれコンサルタントとして、プロジェクトをしながらのハッカソンだったので、基本的に業務外の時間に進めることが多かったです。スケジュール的に大変でしたが、その中に楽しさもあり、学生時代の文化祭を思い出しました。 (田之頭氏)個々の得意分野によって上手に役割分担できたのが印象的でした。そのおかげで完成度が高いものができたと思います。初めてBTPに触れるメンバーに短期間でキャッチアップしてもらうというのは大変ではありましたが、BTPは初学者の方でも結構触りやすいのが特徴だと思いました。UIを作るにあたっても、一目ではわからないような細かい箇所までシビアなフィードバックを頂きながら完成度が高いものにできたと思っています。 開発期間がもう少しあったとしたら、どんなことに取り組みたかったでしょうか? (田之頭氏)大きく2つあります。ひとつ目が機能の拡張です。今回のハッカソンでは、私たちの実現したいことに対し機能の全体像を描き、特にユーザーに届けたい部分に絞って実装しました。ESGレポートの詳細出力など、今回実装できなかった機能が実装できたらと思っています。ふたつ目がUIのブラッシュアップです。今回のハッカソン内でもかなりこだわったUIにしたのですが、普段使っているアプリケーションに比べるとまだ劣っているものがあると感じています。市場に出回っているようなアプリレベルまでこだわれたらなと思います。 (荒賀氏)認証系のところや生成AIの活用範囲を広げる部分です。例えば、今回質問者と有識者のやり取りがあったと思いますが、その回答をVector DB(※2)に入れて、過去の回答を参照できる状態にできればより良かったと思います。今回は人的資本に着目し、質問者が有識者に質問することができるアプリケーションを作成しました。さらに従業員のカバー範囲を広げ、質問者の感情面などにアプローチできていれば、より従業員エクスペリエンスの向上につながるアプリケーションを作成できたと思っています。 今回のハッカソンを通じてBTPのここが良い、と思ったポイントを教えてください (向山氏)様々な機能と連携できることに驚きました。SAPソリューション同士の連携もそうですし、Pythonで書いたアプリとの連携など、組み合わせが無限にあるのが良かったです。SAPでの開発となるとABAP(※3)でするものだと思っていたので、最初は正直ドキドキしていましたが、Pythonだけで実装まで持って行けたので初めての方にも使いやすいと思いました。UIの部分もBuild Apps(※4)などが視覚的にわかりやすく、少し教えてもらっただけで初めての私でもさっと作ることができました。 (荒賀氏)ローコード/ノーコード開発という概念によって、本来開発への関わりが薄いコンサルタントの方や、業務ユーザーの方に開発を体験する場を提供できるというのが大きいと思いました。 また、ABAPerの方とオープンソースの方をつなげる役割もあると思いました。これまではABAPとオープンソースでの開発には、それぞれ壁があったように感じます。BTPがそれぞれの開発者の方をつなげる機会になるのではないかと感じています。 初めてBTPに触れてみて、どのような印象を持ちましたか (横瀬氏)未経験者でも敷居が低いというのは感じました。一般的なアプリ開発であれば、何かをインストールして環境を整えるのに時間がかかってしまいますが、BTPではブラウザで一通りのことができました。普段の業務でもオフショア開発の経験があったのですが、開発規約などをお伝えして開発環境を作るところからお願いするのが大変に感じていました。共有のしやすさなどもBTPは優れていると思います。 (向山氏)開発環境がブラウザ上で完結している点は本当に良いポイントだと思います。社内で開発用のPCを借りたのですが、正直一度も使いませんでした(笑)。BTPは機能がたくさんあり、何から始めて良いかわからない部分もありましたが、慣れてくると使いやすい機能ばかりでした。 逆に、BTPにこのような機能があればいい、というものはありますか (向山氏)ベクトル化の部分です。今回のハッカソンでは、HANA Cloud(※5)のベクトルエンジンを使用しましたが、ベクトル化する部分はPythonで行いました。ベクトル化に関してもBTPで完結していればよりスムーズに開発ができていたと思います。 (荒賀氏) ローコード/ノーコードで開発できる部分がまだ少ないところです。最終的にお客様に使っていただけるように実装しようと思うと、まだどこかでコーディングが入ってきます。今回のハッカソンでもエキスパートに力を借りる場面がありました。年々カバー範囲が広がっているのですが、製品化までの部分をすべてローコード/ノーコードでできればより良いと思います。 BTPは機能が多く、初めての方はどこから手を付けていいかわからない方も多いかと思います。そのような方たちにどの機能から使うことをお勧めしますか。また、まずは作成物としてどのようなツールを作るのが良いと思いますか。 (田之頭氏)ユーザーが実際に見る、フロントエンド部分の実装がいいと思います。全く触ったことのない方は、まずそのような箇所から始めて、裏でどのようにシステムが動いているかイメージするとバックエンド側の理解も深まるのでお勧めです。 作成物に関しては、簡単な社内ツール作成がいいと思います。今回のハッカソンのラーニングの際にSAPから例を出されていた在庫管理ツールなど、社内で使えるツールだと簡単に作れますし、社内で効果が鮮明に見えるのがいいと思います。 (荒賀氏)当社のプロジェクトでよく見かけるのは、Business Application Studio(※6)のFiori elements(※7)です。デプロイ先をS/4HANAにすると、開発ツールがSide-by-Side(※8)で、その開発したFioriアプリケーションのデプロイ先はIn-App(※8)のようになります。この開発方法は、Fioriでのアドオン開発には必要になってくるので、需要が高いという意味でこれから使っていくパートナーの方には非常におすすめですし、提案しやすいものだと思います。 今回のハッカソンを通じて感じたSAPのAIに対しての印象を教えてください (向山氏)HANA DBにベクトルエンジンが導入されたと思います。今回のハッカソンでも私たちはRAGを使いましたが、DBとAIの連携において、RAGをすぐ導入できたため、すごく使いやすかったと思います。機密情報を使っていても学習に使われないという部分が安心して使える印象です。社内にAIのチームがあるので、今後も連携しつつ、既存の製品にプラスアルファで何か新しいソリューションを作っていきたいです。 (荒賀氏)AzureやAWS、GCPなど選択肢が与えられているという中立性があるのが、他の生成AIサービスとの違いだと思います。Joule(※9)というSAPの生成AIサービスでは、業務ユーザーであれば分析系、コンサルタントであればカスタマイズやアプリの調査の効率化など、エンジニアであればBuild Code(※10)などのコード生成機能など、あらゆる領域に組み込まれて便利だと感じています。一方でJouleでカバーしきれない領域においては、AI Launchpad(※11)、AI Coreを活用したカスタムの生成AIシナリオの提案ができればと考えます。 今回のハッカソンを通じて自身のキャリアにどのように生かすことができるとお考えですか (横瀬氏)当社の立場として、BTPを使うこともあれば、ユーザー企業の目線で評価する立場に回ることも多くあります。これまでは、できることはわかりつつも、自分自身の経験はない中で評価をしていたのが正直なところでした。今回のハッカソンにおいて自分で手を動かしたことで、今後はバックエンド側の仕組みや、BTPを使う際のメリットデメリットを押さえたうえで評価ができると思います。 (田之頭氏)今回のハッカソンは最新技術のキャッチアップ的な要素が大きくありました。自分のチーム限らず、他社さんの事例も見ながらキャッチアップできたので良い勉強になりました。かねてより、システム側に強い人材になりたいと思っていましたが、今回のハッカソンを通じて、それだけでは戦えないことも痛感いたしました。どうビジネスに組み込んでいくかなど、今後キャリアを積んでいく上で大事にしたいと考えています。 (伊藤氏)今回のハッカソンでのキャッチアップをもとに、今後参画するプロジェクトの幅が広がればなと感じています。これまでは、アプリケーション開発など、少し構えてしまう部分もありましたが、ハッカソンを通じてハードルが下がったと思います。今後SAPコンサルタントとして提案をしていく中でも、どのようにビジネスバリューを考えて伝えていくか、それを体験する良い機会になりました。 来年以降、BTPハッカソンがこんなイベントになってほしいといった思いがあれば教えてください (中山氏)今回のハッカソンでは、デリバリーを担当するようなSAPのパートナー企業の参加が多かったと思います。今後は、ユーザー企業とのコラボレーションができたらより面白いハッカソンになると思います。おそらく複数社で合同のハッカソンとなると、時間の制約など、進めていく上で難しい点も多いと思いますが、そのような環境の中で生まれる作品が世の中にとって本当に意味のあるものになると感じています。 (荒賀氏)今回のハッカソンでは、当社はBTPの環境が整っていて、予算も確保されていましたため、生成AI機能などを柔軟に活用ができたと感じています。ただ、生成AIとなるとAI CoreのExtended planなどで予算が下りないなど、生成AIの機能を諦めてしまった参加企業もいらっしゃったのではないかと思います。環境の提供など、SAPにしていただけるのであれば、より良い作品が生まれるのではないかと思いました。 また、前回のAPJのハッカソンに参加したときに思ったことなのですが、グローバルイベントになったとたん日本の存在感が弱くなってしまった印象を持ちました。これを機に、グローバルに挑戦する企業も増えたらいいと思いました。 最後に、今このブログを読んでBTPや来年以降のハッカソンに一歩踏み出そうか悩んでいる方に向けてメッセージをお願いします。 (横瀬氏)開発経験のない私でも参加できました、ということをお伝えしたいです。興味があれば未経験の方でもぜひ一歩踏み出してみましょう! (向山氏)最初は「本当に大丈夫かな」という部分が大きかったのですが、実機を使ってみることで自分のできることの多さに気づきました。今後興味のある方がいればぜひ一歩、ワークショップなど最初に説明いただける機会もあるので、踏み出す経験としてご活用いただければと思います。 (田之頭氏)今後どんどん拡張機能の重要性が増していくと感じています。まずは一歩目として、ハッカソンはキャッチアップをする場としては本当に整っていると思います。これをBTPを知り始めるきっかけにしていただければ嬉しいです。 (伊藤氏)BTPにはじめて取り組む方の中には、「難しい」と思われる方も多いのではないかと思います。ただ、距離が近いチームでミスをしても許容してもらえる環境で挑戦することができるいい機会だと考えています。ぜひ怖がらずに参加してみてください。 (荒賀氏)「スキルに自信がない」「開発スキルに自信がない」「自分に開発は関係ない」と思う方こそぜひ参加してもらいたいです。普段開発を経験されない方に参加いただくことで「Business×Tech」を間近で体験していただきたいです。SAPから手厚いサポートもあるので、スキルに自信がない方も安心して参加してみてください。 (中山氏)今回のハッカソンは昨年に比べ、約1.5倍の参加があったと思います。世の中の流れ的にも、SAPにおける拡張開発の可能性を実感できたイベントでした。日々の業務の中で課題を感じる方や、何かしらこうするとより良いと感じている方は、自分のちょっとした悩みやアイデアを、テクノロジーを使ってどのように実現できるのか考える場としてハッカソンを活用いただければ嬉しいです。チャンピオンとして来年はお待ちしています! あとがき 今回のPwCコンサルティング合同会社様へのインタビューを通じて、会社全体から感じるハッカソン優勝へのこだわりとBTPやSAP Business AIへの期待を感じました。また、経験の有無を問わず、ハッカソンが最新技術のキャッチアップやキャリア形成において良い機会であることが強く伝わりました。 まだまだ、BTPの活用や開発について、ハードルを感じられる方も正直多いのではないかと思います。来年以降も、開発経験問わず多くの方にご参加いただき、ビジネスとテクノロジーのイノベーションを起こすチャンスを提供したいと思いました。(SAP 西山) 関連記事 (※1)SAP Business Technology Platform:SAPの提供するプラットフォームサービスで、データとアナリティクス、人工知能、アプリケーション開発、自動化、統合の機能をまとめて提供している。 https://www.sap.com/japan/products/technology-platform/what-is-sap-business-technology-platform.html (※2)Vector DB:正式には、SAP HANA Cloud Vector Engineのこと。SAP HANA Cloud のマルチモデルエンジンに新たに追加された機能で、顧客は2つ以上のベクトル間の類似性を利用してビジネス上の問題を解決することができる。 https://news.sap.com/2024/04/sap-hana-cloud-vector-engine-ai-with-business-context/ (※3)ABAP:SAPシステムを構成するプログラミング言語のことで、主にアドオン開発に使用される。https://help.sap.com/doc/abapdocu_751_index_htm/7.51/en-US/index.htm (※4)HANA Cloud:BTPにおけるデータベース管理基盤のこと。データへのアクセスの迅速化、柔軟な拡張を実現することができる。 https://discovery-center.cloud.sap/serviceCatalog/sap-hana-cloud?region=all (※5)Build Apps:ドラッグ&ドロップを中心にマウス操作でアプリケーションを開発することができるローコード・ノーコードアプリケーション開発ツールのこと。 https://www.sap.com/japan/products/technology-platform/low-code-app-builder.html (※6)Business Application Studio:SAPソリューションを拡張するためのクラウドベースの開発ツール。プロコードでアプリケーションの開発ができる。 https://www.sap.com/japan/products/technology-platform/business-application-studio.html (※7)Fiori elements:ビジネスアプリを作成することのできる設計システムのこと。SAP S/4HANAやその他のエンタープライズソフトウェアソリューションと整合する独自のアプリを迅速に構築およびカスタマイズすることができる。 https://experience.sap.com/fiori-design-web/smart-templates/ (※8)Side-by-Side、In-App:ERPの拡張開発を行う際の手法のこと。Side-by-Side開発では、ERPパッケージとは別の基盤で開発を行うのに対し、In-App開発では、ERPの内部で開発を行う。 (※9)Joule:SAPの提供する、自然言語生成型AIコパイロットのこと。複数のシステムからデータを迅速に分類し、文脈を整理してよりスマートなインサイトを提示する。 https://www.sap.com/japan/products/artificial-intelligence/ai-assistant.html (※10)Build Code:JavaおよびJavaScriptアプリケーション開発向けに最適化された、Jouleコパイロットを活用した生成AIベースのコード開発ツールのこと。 https://help.sap.com/doc/a3a8555189a0481fb69c68f60142fa10/SHIP/ja-JP/FSD_jp.pdf (※11)AI Launchpad:BTP上で提供されるSaaS製品。複数のインスタンスでのAIのユースケースを管理することができる。 https://help.sap.com/docs/ai-launchpad?locale=en-US Read More Technology Blogs by SAP articles
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